11 体用相応の事
未生挿花においては、太極(一)・両儀(二)・三才(三)という大きな原理原則がある。「太極」とは未生という未だ生じていない根元を現す「理念」であり、「両儀」は陰陽という相対的関係を現す「働き」を現し、また「三才」とは天地人の現象としての「姿」を意味する。この原理に即して、天地人という「三才」を、「体・用・留」という肉眼で見える形として現すのが未生挿花である。
また一方で、姿のみにとらわれるのではなく、心眼でもって花を挿けることが大切である。すなわち花の形という「姿」が生じる前の、根本的な「理念」と、その「働き」に想いをおよばせ感じることが大事なのである。このときの「理念」は体であり、「働き」は用であり、また「姿」はこの体と用が相応した結果としての「相」であると捉えることができる。つまり、この「体用相」の「相」は「体用」という理念・働きがあった結果、その現象として姿が生じたものである。よって、その理念と働きに考慮を及ばすことなく、現象としての姿だけにとらわれては、形骸に陥ってしまうだけである。体は「性」であり、用は「情」であるが、この「性情の両気」を心眼でもって感じとり、挿けることが大切なことである。