4  陰陽和合
 「虚実等分」と共に未生挿花において重要な理論として「陰陽和合」がある。陰と陽、つまり花葉に「大」「小」、そして枝に「長」「短」、「内」「外」、「表」「裏」と両極なるところを用いることで、花の姿に「陰陽和合」を備えるのである。
 花の莟は「陰」、開は「陽」、そして半開は「和合」の姿である。よって「陰」である莟を一輪挿ける時には、ここに陰陽和合を備えるために、陰の中に陽の兆しを含んでいる「陰中陽」の状態とする必要がある。また「陽」である開のものを一輪挿ける時には、同様の考えより、陽の中に陰の兆しを含む「陽中陰」とするのである。
 なお、右にさし出た枝は「陰」、左にさし出た枝は「陽」、そして下に出た枝は「陰」、上にでた枝は「陽」である。葉が程よく左右・上下に分かれ、調和している様にこそ「和合」の姿があるといえる。いずれにしても、草木の出生に従って、陰陽和合を備えることが肝要なのである。
 「暖」が満ちる時には「寒」がこれを涼しめ、いっぽう「寒」が満ちる時には「暖」がこれを暖める。この「寒」「暖」というものは、総じて「陰」「陽」とされている。天地にある万物は「大地」の恵みと、「水」「火」による寒暖によって生育するが、この「地」と「水」と「火」の三つを「三光の枝葉」という。この「三光の枝葉」によって、万物は育まれているのだ。