10 株分け
「広口、馬たらいの類に株分けて入る時、木物ならば谷間といひ、草花ならば株を分るといふ。水草ならば魚道と唱ふべし。」と伝書にある。株分けは広口に二株・三株と株を分けて挿けるものであり、「株分け」「谷間分け」「魚道分け」「水陸分け」の四つがある。又その変化挿けとして、株分けの「飛留」がある。以下にその詳細について述べる。
「株分け」は、草花のみ、また木物と草花を用いて株を分ける挿け方である。
「谷間分け」は、木物のみを用いて株を分け、山峡にある谷間を見立てる挿け方である。
「魚道分け」は、水草のみで株分けにして挿け、その株と株の間に黒石で魚の通り道をとる挿け方で、この株と株の間を魚の通い道(魚道)と見立てて考える。
水草に陸物をあしらい、また陸物に水草をあしらうことは禁じられている。よって広口に陸物と水草を挿ける時は、石を使って陸と水辺とを分けて入れなければならない。これを「水陸分け」という。陸は白い小石・砂利でもって現し、いっぽう水は黒い石・砂利で見立てて水陸を分け、陸物と水草を水陸に分けて挿けるものである。
株分けとしての「飛留」は、立姿(留は軽く)の足元に横姿を挿けて、横姿を全体の留と見立てる挿け方であり、この飛留は広口だけでなく寸渡を用いても挿ける。