12 抜け生け 打ち抜き
 二重・三重の竹花器を使って、挿けた木が竹花器の中を抜け出るように見せる挿け方を「抜け生け」という。また、三重・五重の竹花器を使い、挿けた太い木が竹花器を打ち抜いていくようにみせて挿ける手法を「打ち抜き」という。両者ともに、竹花器と、それを貫く木とが統一感をもって、全体の姿でひとつの木の姿を現す。「抜け生け」を繊細な陰のものとして捉えるならば、「打ち抜き」は力強い陽のものと考えることができる。しかし、両者の挿け方ともに、繊細な中にも力強さ、また力強さの中にも繊細なところが感じ取れるように、つまり陰中陽・陽中陰の姿を感じとりながら挿けるものである。
 全体の組み立てとしては、下口より上口へとつながりを持たせて考え、三重の場合は上口には横姿を、中口には立姿(半立姿)を、そして下口には立姿(半立姿)を挿ける。竹花器の下口のほうに挿ける木が全体で考えた根本の木で、上口のほうに挿けたものがその木の先端と捉え、下口より上口までが一本の木と見立てるように挿けあげる。そして全体の姿として、一本の木の姿にみえるように統一感をもたせるものである。
 花器である竹を、一本の古木が左右への曲がりをもって、下口より上口にと貫いていくように扱う。そして、この古木にそれぞれ体・用・留と若枝を添わせて肉付けをしていく。このとき古木も体・用・留の格をもったものにするのが好ましい。
 古木は自然に曲がったものがあると使いやすいが、なければ、その自然な曲がりを人工的に作る必要がある。古木には、松・桜・梅などの風情あるものがよい。また、これに添わせる若枝は、必ず古木と同じ種類のものを用いる必要もなく、宿り木として別の種類のものを使っても構わない。