7 円相体
未生流の花形には、三つの基本形がある。天円を現すところの円相体(内用)、地方を現すところの方形体(松竹梅・おもと七五三の一株扱い)、また天円地方の和合を現すところの二等辺三角形の鱗形(三才格・五行格)である。
そしてこの「内用」のみが円相体に属するものである。天円は太極という万物の根源を意味し、この円相に収める花形である「内用」は最上のものであるといえる。また、無限に尽きることなく、生々流転する未生自然の理を現すものである。円相体といっても空間の中では球形となり、よって立体的に挿けることが求められる。また「真・行・草」の「草」の姿では円相が円形となるが、「行」の姿においては楕円相となる。
「内用」の挿け方として、内用は内用前留ともいうように、前留を一番先に、通常の用の下側の位置に挿ける。この前留は円相に内接するように大きく矯め、その足下は常の留よりも少し高い位置とする。後に挿ける内用の枝の変化に応じて均整を持たせることが肝要である。次に、常の用の位置に小さめに軽く仮の用となる仮用を挿けるが、この仮用は円相に内接することはない。また、体は常の位置に挿ける。
この花形の中で最も際立った枝である内用は、奥行きの関係においては、体の後ろより後方に回して後に再度前方に大きく振り出し、枝の先端が球に内接するところまでためる。いっぽう上下の関係においては、一度上方に立ち上げ、一旦下げて後に再度立ち上げて、枝の先端が体の中心の高さに戻るようにためる。最後に、仮留は常の留の位置に短く軽く、少し前方に振り出して挿ける。また控も同様に小さく軽めに挿ける。
この内用の花形は、円相の右半分の空間の中に、内用の枝がもつ美が生じるように挿けあげ、全体の姿から円相・球を感じとれるようにすることが肝要である。