16 段取物 挿け方
 花が一輪づつ散らばって付くことなく、小花が一箇所に集まって咲く花材を挿けるときの方法を段取挿けという。小花のかたまりを一段とし、そして五段から七段、九段と段を作って挿けることから、この名がある。この段取挿けをする花材としては、羽衣草・小車草・弁慶草・小菊・しもつけ・なでしこ・藤袴・女郎花・男郎花などの花が挙げられる。
 先ず、五段の段取挿けとしては、用・用添に二段、そして体・体添に二段、また留に一段と挿ける。次に、七段の段取挿けとしては、用・用前添・用後添に三段、そして体・体添に二段、また留・留添に二段と挿ける。そしてまた、九段の段取挿けとしては、体用留ともに三段づつ、前添と後添をそれぞれ配して挿けるものである。いずれにしても花の大きさに大小の変化をつけて、花の美しさを引き出すようにして挿けることが大切である。また、花が階段状に並ぶと段々花として禁忌に触れるため、そのような様にはならないように気をつけて挿けなければならない。
 また段取挿けをする女郎花の挿け方として、「女郎花は、諸草に異にして花と葉と同じ年に生ぜず、今年葉を生ずれば、明年葉の跡に花を生ず、これ大根葉と名づけて、花と葉に株を分かちて界を入る。これ二季の通いを備えて葉組を成す」と伝書にある。女郎花を広口に段取にして挿ける時は、株を分けて出生の葉を使うのである。この出生の葉とは、今年生じた花のところに付いた、昨年より生じていた大根の葉に似た大きな大葉のことをいう。この組み方としては、葉を向き合わせて形を整え、花を体と用に使い大根葉を留に挿けたり、また大根葉を前留にして内用前留の姿にして挿けたり、そしてまた株分けにしたりと、うまくこれを扱って挿けるものである。