22 牡丹 挿け方
 中国では百花王として、牡丹に勝る花はないとされている。また、菊・芍薬と共に三佳品のひとつにも数えられている。
 この牡丹の挿け方であるが、「獅子隠れ」「花隠し」「爪隠し」の役葉を使う。「梅に鶯」「竹に虎」「牡丹に唐獅子」などと調和する様がいくつも例えられているが、葉が密生する牡丹の陰には、獅子が潜んでいることを想わせるように、「獅子隠れ」「花隠し」「爪隠し」の葉を使うのである。
 先ず、用に勢いのある葉を「獅子隠れ」として数多く使って挿ける。この密生する葉の陰に、獅子が隠れているかのような様をもってして挿けるのである。そして用には、満開の花を、葉に載るようにして挿ける。
 次に南天の木など、黒ずんだ幹をもつ黒木を長短に二本使って、その黒木に添わして半開の花を体に使って挿ける。この花についた葉を「花隠し」という。花隠しは獅子の象徴である鼻を隠すに掛けたものであり、この体の辺りに獅子の顔が見え隠れするような様を持たせるのである。
 また留には蕾を挿けて、切葉をたくさん使う。この小さく切った切葉を「爪隠し」といい、獅子が爪をしのばせているような様を表現するのである。
 用に満開、体に半開、そして留に莟を用いるのは、自然の陽の気が、用から体そして留の順に巡っていくという原理原則を現すものである。 
 この牡丹には、薄端、広口、また特に手附の大籠がよく合うとされている。また牡丹は、四・五月頃に咲く「春牡丹」が一般的だが、八月頃より咲く「冬牡丹」がある。これを別名で寒牡丹ともいい、花・葉ともに艶しく、花の軸が短いので扱いは難しい。この冬牡丹の挿け方も、春牡丹のそれと同様である。