23 紫陽花 挿け方
あじさいは、あづ(集まる)とさい(真藍)の意味をもって名付けられた花である。青白色から薄紅、濃紫、藍色と色とりどりの紫陽花は、花が密に集まって咲く。また花期は六月から七月である。
この大きな花をつける紫陽花は、牡丹を挿ける時と同様に、体・用の格先に大輪の花を使わない。花の付いていない幹や、次の年の春には再び花をつける枯木でもって体・用の格先をとる。
牡丹を挿ける時に、南天の木など黒ずんだ幹をもつ黒木を使い、それに添わして花を添えて使うが、この黒木扱いをしてもよい。また、大きい紫陽花の花は懐(体前添)に趣あるように使って挿けるものである。
紫陽花は花と同じく葉も大きいものであり、葉先を切って切葉にしたりと、うまく葉を除いて、透かし過ぎないように注意して心を込めて挿ける。大葉をそのまま使うときは、特に見せ方を工夫する必要がある。
紫陽花は、元々の花の色が紅色であっても、植え代えたりすると翌年には青色の花が咲いたりとする。これは土の性質によって紫陽花が変化するためである。酸性の土に育つ紫陽花は紅色に、またアルカリ性の土に育つものは青色になる。水揚げが悪い紫陽花は、切り口を少したたいて、みょうばんを擦り付けたり、また酒に浸す等するとよい。みょうばんはアルカリ性、また酒は酸性の性質をもち、陰陽どちらかの性質に傾けることで、水揚げの効果がでるものと考えることができる。