24 枇杷 挿け方
 枇杷の出生としては、先ず先に生じた大きい古葉が二枚向き合い、そして後から生じた小さい若葉が二枚向き合い、このように次々と大小の葉が二枚づつ陰陽と向かい合って生じていくものである。よって枇杷を挿ける時は、この出生を重んじて、大小・陰陽の調和を崩さないように葉を透かして挿けることが大切である。万物すべて陰陽が備わってこそ活物であるといわれるように、大小・陰陽と備える枇杷の出生をうまく捉えて挿けるものである。
 また、このように葉が規則正しく整列する出生をもつ枇杷には、一枚だけ変化の葉を使うこととされている。これを「横一文字の葉」といい、実の姿に虚を加えた「虚実の一葉」であるといえる。枇杷の出生に応じて陰陽の葉を正しく調和させて挿けたとき、全体の葉の総数が偶数である陰数となる。よって、全体の葉を奇数である陽数となるようにするため、一枚だけ葉をつけ加えるのである。この「横一文字の葉」としては、一枚の大きい老齢の葉である古葉を選んで、体の後に水平に使う。このように、実の姿としての枇杷の葉に、虚の葉として「横一文字の葉」を一枚加えることで、挿けあがった全体の姿の中に虚実の働きをみてとるのである。