25 杜若四季咲き 挿け方
 杜若はアヤメ科に属し、その挿け方として、花は葉よりも低く扱い、葉は葉先のかぎが向き合うように組んで挿ける。また、この杜若はそのときの時候の景色を捉えて挿けるものである。以下に、四季に応じて挿ける四季咲き挿け方について述べるものとする。
 春の杜若は、昨冬に出遅れたものが、春の暖さを感じとって咲き出たものである。よって春の杜若は虚実に挿ける。この挿け方として、広口の向こうの定方のところに、体用という性情の両気をもって、出生のままに葉を組む。このときの葉は柔らかいために組み直すことが困難であるので、出生のまま実をもってして挿けるのである。花は葉より大いに低くして半開に挿ける。この半開にするところは、すなわち陰陽和合である。また魚道を分けて規矩を守り、また水切りの葉を適宜使って挿けていく。このように実に従い、また一方で挿け花として虚を加えていく。すなわちこれをもって虚実の挿け方とする。
 夏の杜若は、葉がしっかりしているので、規矩をしっかりと守って葉組みをする。挿け方は、葉で三才の格をとり、花は開花・蕾と陰陽に用いて使う。花で三才の格を取るときは、大株を実として自然のままに挿け、虚として小株で葉を組み、これに花を応合って挿ける。また、水切葉も適宜使って挿けていくものである。
 秋の杜若は、組み葉の中に黄葉を加え、また花は葉より高く挿ける。魚道を分けて、秋の閑静の面持ちで挿ける。さらに実を使って挿けたりとする。
 冬の杜若は、枯葉・虫食いの葉を多く使い、葉組することなく出生のままに挿ける。花は、低い葉よりも更に低く、すくんだ状態のすくみ花を使う。また実を使って挿け、さらに枯れ葉・垂れ葉・折れ葉を用いて、霜枯れたる景色を移しとるものである。