26 椿四季咲き 挿け方
 椿は、花がぽとりと落ちるので戦場の花としては挿けることを禁じられてきたが、白玉椿は「八千代椿」とも呼ばれ、その生命の長さや清浄感を賞して、芽出度い花として挿けられるものである。
 四季咲きの椿を春に挿けるときには、用には半開の花を、そして体には満開の花を挿ける。また留には莟を、体に准じた花数にして挿ける。この春の椿は、冬を越すために花を守ってきた葉が花の上に付いているものである。この葉を「霜囲いの葉」といい、この葉を花の上にかざして使って挿ける。また、この「霜囲いの葉」と同様に、椿の花を守ってきた葉で、花の両端を二枚の葉が挟んでいる姿をもつものを「挟葉」という。この「挟葉」も同じように扱って挿けるものである。
 そして夏の椿は、用には満開の花を、体には半開の花を、また留には莟を挿ける。夏の椿を挿けるときは、冬を越すために花を守ってきた葉である「霜囲いの葉」「挟葉」を使うことはない。
 また秋の椿は、春のときと同じようにして挿けるものである。
 最後に冬の椿は、開花の花を用いることなく、莟を多くして半開を少し混ぜ合わせて挿ける。またこの冬の椿を挿けるときは、「霜囲いの葉」「挟葉」を使って挿けるものである。この「霜囲いの葉」と「挟葉」は、これから続いていく冬の寒さに堪えるため、椿の花を守る葉と捉えることができる。