30 蓮 河骨 杜若 芦 水葵 五種 挿け方
 蓮、河骨、杜若、芦、水葵の五種の水草を取り合わせる挿け方である。この挿け方は大広口に五石の石飾りをして挿ける。天地人の三才の石に、「水おう石」という陰陽二石を加えて五石とする。「水おう石」の二石は、水草のみを挿ける時に使う石で、水嵩が低い時には目に見えるものであるが、水嵩が上がれば見えなくなるような石であり、水面ほどの高さのものを用いる。
 先ず、天石の後ろに蓮を五葉二花、もしくは七葉三花と挿ける。このとき石が主位であれば主株の蓮の花は客位に、また石が客位であれば蓮の花は主位に挿けるものである。そしてまた、これに魚道を分けて大小の浮き葉を使う。
 次に、人石の後ろには杜若を五葉一花の横姿にして挿け、また地石の後ろには河骨を三葉一花に挿ける。そして、陽の「水おう石」に芦を三本挿けて、いっぽう陰の「水おう石」には水葵もしくは花沢瀉を三葉一花で挿ける。この「水おう石」は、水嵩が低い時には目に見えるものであるが、水嵩が上がれば見えなくなるような石であるので、よって水面ほどの高さのものをそれぞれ「陰」「陽」にして大小と用いて使う。主株の蓮は大きい姿に挿け、ほかの花は小さい姿に挿けて、全体の姿が調和するように気をつけねばならない。