35 花首 揉め方
花首揉め方・伝ある品の心得として、大輪の菊、百合、杜若、芍薬、椿、柘榴、南天と七ヶ条が伝書に記されている。
菊は花が常に上を向いて咲くものである。特に大輪の菊は思うような向きに花を揉めるのは難しい。これを揉めるには、花首と茎を一か所によらず数カ所にわたって、自然な感じに温めて揉めていく。また現在よく用いるワイヤー等を、茎の中に入れて揉めてもよい。
百合は花首が下に向く出生をもつ「臥す花」である。そのため勢いがない天蓋花として禁忌にふれることが多い。この百合を使うときには、一瓶の中に二三輪の花は上に起こしてやり、虚の姿として取り扱うものとする。そして残りは出生のままに下を向いた実の姿とする。この揉め方としては、花首の箇所にピン等を通して、花首を上に起こす方法などがある。
杜若は、莟を挿けてもやがて花が開いてしまい、花形が変わってしまう。よって杜若の花が開かないように、その茎の部分を少し切って、水があまり上がらないようにする方法がある。現在ではスプレーなどで、その姿を固めてしまう方法もある。また花の軸がゆがんで使い勝手が悪いときには直して使うものとする。花菖蒲やいちはつなども、杜若と同様の扱いとする。
芍薬の花が咲かないようにするには、菊と同様に濃い塩水を注入する方法がある。また曲がりのよくない軸のものに形のいい花がついているとき、この花茎だけを切ってしまって、曲がりのいい軸につけ代えてしまう方法が伝わっている。
椿も芍薬のときと同様に、花茎だけをつけ代えて、程よきところに花を咲かす方法が伝わっている。また柘榴も、芍薬や椿のときと同様にして、花茎だけをつけ代えることが許されている。
南天は水上がりが悪く、その実は垂れ下がるものが多いと勢いがない。そのため南天の実をうまく自然な感じに間引いて軽くすることで、全体的に立ち上がるようにする。