3a 誕生の花
 高位の方の子が誕生したときには、最も目出度いとされる「松竹梅」を挿ける。しかし一般的には「誕生の花」として、竹に五葉の松を挿け、この五葉の松の根元に草花や、実を結ぶことにつながる実物などを添えて挿ける。また、五葉の松もしくは白梅を挿けて、これに白玉椿を添わして挿けたりもする。
 五体満足を現す五葉の松、そして寒冬を凌いで一年の最も最初に咲く梅、また八千年の齢があるという椿や、濁りのない色で清純無垢な目出度い色である白の花を用いるのである。
 白玉椿を挿けるときは、冬を越すとき霜から花を守るために、花の上に反転した葉である「霜囲いの葉」を使い、そしてまた花の下に左右二枚出て花を守っている葉である「挾葉」を使って挿ける。これは、椿の花を子に見立て、それを守る葉である「霜囲いの葉」と「挾葉」を庇護する親の姿として捉えたものである。
 以上の挿け方以外にも、七五三の若松を挿けてもよい。さらに、菊・芍薬・万年青・太蘭などの勢いの強い芽出度い花などを使って、子の誕生を祝ってもよいが、このとき花は白いものでなければならない。枝先の力がなく垂れ下がるものや名の悪い花は、このような目出度い席に使ってはならない。