3b 七五三の花
 男児は三歳と五歳に当る年の十一月十五日、そして女児は三歳と七歳に当る年の十一月十五日に、それぞれ氏神に参詣する。このときを七五三の祝いという。昔は三歳の男児・女児の祝いを「髪置の祝」、そして五歳の男児の祝いを「袴着の祝」、また七歳の女児の祝いを「帯解の祝」といった。
 三歳に当る年の十一月十五日「髪置の祝」のとき、男児・女児ともに生まれてきたときの胎髪を切って、このときより髪を伸ばし始める。そして麻で作った白髪をかぶって、氏神に参詣して長寿を祈った。この「髪置の祝」の花としては、寿命永く髪が長く伸びるようにと、垂れ柳に白玉椿を添えて挿ける。また垂れ柳に、濁りのない色で清純無垢な目出度い色をもつものとして、水仙などの白い花を添えて挿ける。
 男児は、五歳に当る年の十一月十五日「袴着の祝」のときに、親族のなかの長たる人物に初めて袴をはかせてもらう。このとき、吉方に向けて左足から袴をはかせてもらうものとされている。そしてその後、氏神に詣でるのである。この「袴着の祝」の花としては、男児が正しく、清く、また強く成長するようにと「白梅・福寿草」「白梅・千両・寒菊」「南天・芒・水仙」などの、濁りのない白い花や、実を結ぶことにつながる実物、また勢いの強い花などを選んで挿ける。
 女児は、七歳に当る年の十一月十五日「帯解の祝」のときに、着物の付けひもを解いて、吉方に向って初めて帯をしてもらう。そして氏神に詣でるのである。この「帯解の祝」の花も、「袴着の祝」のときと同様に、正しく清く、そして強く成長するように花材を慎重に選んで挿けるものである。