5d 寄合の挿け方 廻り花の心得
「一つの器に寄合挿け方の心得」として、三重の花器に花を五種使って、五人で挿けるときは、上口・中口・下口にどの花を誰が挿けるかをあらかじめくじで決めておく。そして、上口より順に挨拶をしてから挿けていくものである。最後に下口を挿けた者は、上口より四季の足し水をしていく。また置花器に、一種の花を体・用・留と三人で挿けたり、広口に三種・五種と三人・五人で挿けることもある。いずれにしても、くじで順番を決め、それぞれ挿ける花材をうまく取り合わて、花手前を正しく行って挿けるものとする。
「廻り花の心得」として、廻り花というのは、一瓶の花を三人または五人で、変化の動きを見せながら挿けていくものである。三人であれば、始中終をあらかじめくじで決めておき、先ず始の人は花の姿に応じて素直に挿ける。このとき、禁忌にふれない程度に花葉枝を多く使って、後に挿ける人のこころを考えて六〜七分の働きでもって挿けるものである。次に挿ける中の人は、この姿を少し変化させて挿ける。そして終の人も、その姿を変化させて挿け、挿け終わった後に花を床に直して、四季の足し水をする。このように、廻り花は、花の姿が変化し移り変わっていく様を興じるものである。また「花月の廻り」というものがあって、三人・五人と花をそれぞれ一種類持ち寄り、くじで順番を決めて、順に挿けていく廻り花がある。